2020.08.09 HELLO! STUDIES 健康・ケア / その他 / 西宮阪急店 / うめだ阪急店 /
という理由から、「塩分は不要」といわれています。確かに犬はあまり汗をかく機能がありませんが、ほとんどは尿から排出されているので、犬には塩分は必要ないというのは間違いといえます。そして意外にも犬は塩分排出能力が人間よりも高いのです。
「犬には塩分は不要」と一般的に言われてきたのは、ドッグフードで必要な塩分を摂取できるということからだと思います。塩分の過剰摂取を続けると、「ナトリウム」が害になり、ヒトと同じで犬も高血圧になる可能性もあると言われてきましたが 、現在は塩分の過剰摂取による高血圧は認められないという発表も多く出てきています。
『なぜ高血圧にならないのか?』犬や猫はヒトと比較するとナトリウムを容易に尿中に排泄することができるからです。 塩分は腎臓疾患や心臓疾患を進行させてしまいますが、健康な犬なら塩分に対して過敏になる事はありません。
「手作りごはん」の場合は『塩分不足』に注意しなければなりません。「手作りごはん」だと無塩ごはんも作れるので、なんとなくのイメージで「犬には塩分を与えない方が良い」と考えて、野菜ばかりの「手作りごはん」を与えている飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
栄養学に詳しい獣医師も手作りごはんは塩分が必要とおっしゃっています。また、ある獣医師は『十分に水分をとっていれば減塩は不要』と言っています。
犬もヒトと同様に塩分は必要不可欠なのです。犬の塩分の不足による症状には、倦怠感や食欲不振、血液濃縮、筋肉痛などがあり、慢性的に塩分不足が続いた場合、下痢や嘔吐の症状もみられ、重症化すれば、シュウ酸カルシウム結石ができやすく、尿の色が濃い黄色となります。ドッグフードを与えている時は塩分の必要性は、あまり気にしないで良いと思いますが、「手作りごはん」をはじめてしばらくすると、「人の手をよく舐める」「足裏をよく舐める」「コンクリート・土・オシッコなどを舐める」「排尿後陰部(尿)をよく舐める」そんな行動をする子がいます。それは塩分不足の行動ですので注意してください。
犬は塩分の排出経路のほとんどが尿ですので、食事の時に十分に水分を与えていれば、余分な塩分は排出されるので大丈夫です。腎臓や心臓にトラブルがなければ塩分の過剰摂取を気にする必要はないと思います。
塩分不足は健康被害に繋がります。普段の生活から塩分を避けるのではなく、摂取量をきちんと把握し与えることが大事になります。「塩分補給は大丈夫」といって人間の食べ物を与えすぎれば、当然、愛犬の体調を崩すことになりかねませんので注意してください。
犬の一日に必要なナトリウム量と食塩の摂取量
① 愛犬の体重(kg)×ナトリウム推奨値(50mg)=1日に必要なナトリウム量(mg)
② ①で計算したナトリウム量(mg)×2.42÷1000=食塩相当量(g) ※アメリカ国立科学アカデミー発行の「犬の栄養要求量」に記載
体重10㎏の犬での一日の食塩の摂取量は1.21g。
食品で換算するとロースハム薄切り2枚で1g、ちくわ2本で1g程度になります。
2020年7月10日発行 CUUN 7月号の掲載
阪急ハロードッグ フードコンシェルジュ
ペット栄養管理士 坂田 正次