HANKYU Hello DOG HANKYU Hello DOG

【フードコラム Vol.44】グレインフリーとグルテンフリーはどう違うの?

2023.08.28 HELLO! STUDIES 健康・ケア / その他 / 西宮阪急店 / うめだ阪急店

ペットフードで良く見る「グレインフリー」と「グルテンフリー」の表記

「なんとなくはわかるけど、細かい違いまではよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。今回はグレインフリーとグルテンフリーの違いをご説明します。                                     まそもそもグレインとは「穀類」を指し、小麦やトウモロコシ、米などが代表的です。穀類は栽培が容易で保存性に優れることから、世界中の多くの地域で主食として重宝されています。                         穀類を細かく見ていくと、小麦や米に代表される「禾穀類・カコクルイ(イネ科)」の他に「菽穀類・シュクコクルイ(マメ科)」の大豆やえんどう豆等、「擬穀類・ギコクルイ」に分類されるソバやキヌアといったものがあります。

ただ、ドッグフードにおけるグレインは、穀物すべてのことを表しているのではなく

米・小麦・大麦・オート麦・トウモロコシ等の禾穀類(イネ科)を指し、菽穀類(マメ科)や擬穀類のものは含まれません。それはグレインフリーの語源である英語圏では、穀類と豆類は別物として扱われていることに由来しています。

一方、グルテンは

小麦、大麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるタンパク質の一種の「グルテニン」と「グリアジン」が水を吸収して網目状につながってできる成分のことで、グレインとグルテンは、言葉が似ているため混同されがちですが別なものです。グルテンを含む小麦等は、エネルギー源として重要な糖質や食物繊維・ミネラルなどを多く含む食材で、ドライフードを成型するための「つなぎ」の役割もあります。その中に含まれるグルテンは、植物性タンパク質なのでフードのタンパク質含有量を高めることも期待できます。

近年、犬の食物アレルギーに関しての論文で

「牛肉や鶏肉などのアレルギーと比較して穀物によるものはとても少ない」ことが報告されています※1。また、ペットフードに含まれる穀物は、適切に調理されているため、穀物アレルギーではない犬にとっては、良質なエネルギー源として利用することができ、現在市販されているフードでは問題なく消化できていることがわかっています※2。さらに犬の祖先は100~200万年前に存在したハイイロオオカミと言われ、雑食であったことがわかっています。このハイイロオオカミは約3万年前から人間と共に暮し、農耕によって作られた穀類などを食べていたようで、デンプンの消化能力がさらに向上したことが遺伝子レベルで証明されています※3。

最近、グレインフリーの食事は、穀物アレルギーでなければ健康にはデメリットが多いという声があります。

肝臓や腎臓に負担をかけるリスクがあることや、穀物に多くに含まれるビタミB1・ミネラル・食物繊維などの不足で、添加物が多く入る可能性があります。犬の穀物の消化吸収に関する研究は様々な方面で行われおり、正確な情報のもと飼い主さんは愛犬に必要かどうかを判断していくのがいいのではないでしょうか?

 

※1Mueller et al. 2016 Allergens in veterinary medicine (獣医学におけるアレルゲン)

※2Nutrient requirements of dogs and cats. NRC 2006 (犬と猫の必要な栄養素)

※3Axelsson E. 2013 The genomic signature of dog domestication reveals adaptation to a starch-rich diet

(イヌの家畜化のゲノム特徴からデンプンの豊富な食事への適応が明らかに)

 

2023年8月10日発行 CUUN 8月号の掲載

阪急ハロードッグ フードコンシェルジュ

ペット栄養管理士  坂田 正次