【フードコラム Vol.22】食べない?食べられない?
2021.12.11
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食欲の秋といいますが、季節の変わり目になると
ごはんを食べない」「ごはんを残す」というお悩みが多くなります。なかには「一年中食が細い」という飼い主さんもいます。食べることは、あまりにも日常的で「犬はいつでも食欲がある」といった思い込みから、「食べるか食べないか」だけを問題と考える飼い主さんも多く、愛犬からすれば「食べたいけど、食べられない」「食べたくないから食べない」とそれぞれです。「ごはんを食べない」「ごはんを残す」がどうして起こるのか考えてみましょう。
「空腹感」や「満腹感」は、脳の視床下部から分泌されるホルモンが血糖値をコントロールすることで働き
それがうまく働かないことで「食欲不振」になります。また、食欲はあるが、食べたり食べなかったりするのが「食べムラ」です。生きるための基本的な食事は、食べる→消化→吸収→代謝→排泄の一連のメカニズムで、このメカニズムのどこかに問題があれば「食欲不振」や「食べムラ」となり、何らかの病気の可能性があります。病気の可能性がある行動として、●なかなか飲み込まない(口内炎)●食後2~3時間後に嘔吐する(胃炎・腸炎)●好きな食べ物(おやつ)も食べない(虚弱・疲労)●必要量以上に水を飲む(消化器系異常)●体重の減少(吸収・排泄異常)などがあり、それらの行動をするときは獣医師の受診をお勧めします。
飼い主さんは、食物に関して「何がカラダに良いか?」に興味を持ちます。
よりカラダに良いとされるものを与えていると思います。そして「良いものを選んでいるのに食べてくれない」となると、その理由が「わがまま」「おいしいものしか食べない」「好き嫌いが多い」と思ってしまいます。しかし、その主な原因として、●運動不足●おやつの与えすぎ●消化が悪い食事(乾燥している食事)●給与過剰●水分摂取不足●部屋の温度、湿度の設定 などが考えられ、もしかしたら「食べない」原因は飼い主さんが作っているかもしれません。
飼い主さんは、愛犬が「食べる」ことで喜びをおぼえ、「残す」ことに不安を感じます。
「ごはんを食べないから、かわいそう」と愛犬におやつなどを与え(犬は空腹感がなくても、嗜好性の高いものは好んで食べます)、その結果、食事の時には空腹感がなく「食べない」ことになります。「愛犬がフードを食べない」といって、好きなものを与え続けると、愛犬は「フードを食べなければ好きなものがもらえる」ということを学習します。食べないときは無理して食事を与えなくても、やがて空腹を感じると自然に食べたくなります。
よく愛犬の嗜好性が高いフード=「良いフード」と考えがちですが、
食べる→消化→吸収→代謝→排泄の一連のメカニズムの中で、どれだけ栄養を吸収しカラダを作り、どれだけカラダに不必要な老廃物を排泄するかが重要です。「嗜好性が高く、食べるフード」より「食べない」ことにフォーカスをあて、食事を食べないから好きなものを与えるのではなく「正しい食事の与え方」が必要ということを気づいていただきたいと思います。
2021年10月10日発行 CUUN 10月号の掲載
阪急ハロードッグ フードコンシェルジュ
ペット栄養管理士 坂田 正次