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【フードコラム Vol.18】犬に必要な水分摂取量と食事からの水分摂取

2021.06.12 HELLO! STUDIES 健康・ケア / その他 / 西宮阪急店 / うめだ阪急店 /

これからの暑い季節、愛犬の心配事のひとつは暑さからくる体調不良です。

その代表的な「熱中症」の発生数は7‐8月がピークですが、近年の研究の結果、犬の熱中症の発症率が増えるのは、気温22以上、湿度60%以上がひとつの目安になることがわかってきました。したがって、愛犬の熱中症対策は、6月頃には必要になってくるということです。犬の熱中症予防の大切な対策の1つは、「温度・湿度の管理」。部屋環境を整えることはもちろんですが、「少しずつ暑さに慣れるように様子をみながら散歩する」「暑すぎる時間帯に外出させない」などが必要です。

そして最も大切なのは「水分補給」。

主食がドライフードの場合は、水分摂取が少なくなりがちで、特にシニア犬は、のどの渇きを感じにくいので、さらなる注意が必要になります。ただ、飼い主さんからは「水分が足りているのかわからない」「水を飲みたがらない」といったお声をよく聞きます。今回は「犬に必要な水分量と与え方」についてご説明します。

そもそも、犬は体重の約70%は「水分」でできています(ヒトは約60%)。

そのうち、水分が10%なくなると死に至る危険性が高くなります(ヒトは約18%)。体内での水分の役割は、「酸素や栄養分を身体中に運び、老廃物は体外へ出す」輸送と排出、「血液の循環を増やし、体温を一定に保つ」体温調節、「新陳代謝がスムーズに行われるよう、体液の状態を一定に保つ」環境維持などで、熱中症予防のためだけではなく、健康管理としても、水分をしっかり摂取できているかどうかはチェックする必要があります。

では、犬の一日の水分摂取量はどのくらい必要か?

犬は体重の10%の水分が一日に必要な摂取量です。5kgの子であれば、食事中に含まれる水分と、飲み水として摂る水分の両方をあわせて500㏄が必要となります。水を飲みたがらない場合は、水分の多い食材や、薬膳の「水分の多く、体の熱を冷ます作用のある『涼性』や『寒性』の食材」を与えてみてください。食材はトッピングにして与えるほか、「スープにしてドライフードに入れて与える」「飲み水代わりにスープを与える」「おやつとしてそのまま与える」といった方法があります。

 

 薬膳で暑い時季に体の熱を冷まし体から不要な「水」を排出し、代謝バランスを整える『涼性』の食材。
  豚肉、マグロ、豆腐、もやし、ホウレン草、きゅうり、ナス、大根、マイタケ、ビワ、ナシ、キウイなど
『涼性』より強い作用で体の熱を冷まし、熱毒や消炎の効果がある『寒性』の食材。
  アサリ、昆布、海苔、ゴーヤ、冬瓜、ゴボウ、レンコン、トマト、ハマグリ、柿、バナナ、メロン、スイカなど

 

水分摂取の視点から愛犬の食事を考えると、身近な食材が与えられて、より食事が豊かになり、食事が楽しくなると思います。

特に、愛犬の食事には「ひとてま」を加えることが大切なことなのです。

 

2021年6月10日発行 CUUN 6月号の掲載

阪急ハロードッグ フードコンシェルジュ

ペット栄養管理士  坂田 正次