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【フードコラム Vol.16】『脂肪』は愛犬の健康に良いの?

2021.04.26 HELLO! STUDIES 健康・ケア / その他 / 西宮阪急店 / うめだ阪急店 /

最近、愛犬のごはんに気をつかう飼い主さんが増えてきています。

なかでも脂肪に関してのお問い合わせが多く感じます。

脂肪は、タンパク質や糖質とともに三大栄養素と呼ばれ、タンパク質や糖質の2倍以上のエネルギーを供給できる優れた栄養素です。体細胞、神経、筋肉などの発達に必要で、不溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助ける作用もあります。脂肪は常温で固体のものを『脂』、液体のものを『油』と呼び、健康な成犬の食事に含まれる脂肪の目安は15~20%と言われています。

脂肪は細胞膜の原料で、不足すればカラダが正常に機能しなくなります。

例えば皮膚の痒みを発症したり、被毛に艶がなくなったりします。脂肪を適量与えることで、皮膚の状態や涙やけが驚くほど改善が見られたりします。また、脂肪は免疫低下や心臓病や糖尿病などの重大な疾患にも影響します。

愛犬のごはんで必要な脂肪は

体内で合成することができない『必須脂肪酸』(オメガ‐3不飽和脂肪酸(αリノレン酸)、オメガ‐6不飽和脂肪酸(リノール酸)など)で、これらは食事からでしか摂取が出来ません。

オメガ‐3不飽和脂肪酸が多く含まれる代表的な食べ物

青魚(EPAやDHA)や亜麻仁油などで、健康的な血管や細胞壁を作るのにとても重要な役割をし、血管の弾力性の保持や、血液中のコレステロール値を正常化します。さらに、体内の血液の流れを良い状態に維持する作用があり、血液サラサラ効果のほか、認知症回復効果、筋肉などの炎症抑制作用、腎臓機能のサポート、癌の栄養になりにくいことも知られています。オメガ‐3不飽和脂肪酸はとても酸化しやすいため、保存や与え方に注意が必要で、低温下におくほど酸化から免れます。体内での酸化を防ぐために抗酸化力のあるビタミンEが消費されますので、ビタミンEも一緒に摂取することをお勧めします。

オメガ‐6不飽和脂肪酸

肉や卵、乳製品に多く含まれ、角質バリアの維持に使われる大切な脂肪酸で、その中に含まれるアラキドン酸は生体膜の流動性を高める役割があります。ただ、炎症を激化させる作用もあるので、オメガ‐6不飽和脂肪酸を多量に摂取する食事はアトピー性皮膚炎の症状の激化や関節炎の痛み、大腸炎では腸内層の腫れを引き起こすといわれています。

『必須脂肪酸』の割合

オメガ‐3不飽和脂肪酸は炎症抑制作用、オメガ‐6不飽和脂肪酸は炎症を引き起こす、相反する作用がありますが、双方が一定の割合で一緒に摂取すると良い作用を引き起こします。犬の場合、オメガ‐3不飽和脂肪酸とオメガ‐6不飽和脂肪酸の比率は、「1:5」の割合とするのが良いと言われています。(ヒトでは「1:4」が推奨比率と言われています)

愛犬のフード選びや食事内容に脂肪の有効性(特に必須脂肪酸)を参考にしてみてはいかがでしょうか。愛犬の食事も飼い主さんの食事もバランスがとても大切なのです。

 

2021年4月10日発行 CUUN 4月号の掲載

阪急ハロードッグ フードコンシェルジュ

ペット栄養管理士  坂田 正次