2021.04.26 HELLO! STUDIES 健康・ケア / その他 / 西宮阪急店 / うめだ阪急店 /
インターネットで調べても、「犬は肉食です」と書いている記事もあれば、「犬は雑食です」とする記事もあります。犬は哺乳類の「食肉目」というグループに属する動物ですが、人と共に暮らす過程で徐々に食生活が多様化し、植物や穀物など肉以外のものも食べ、それに合わせて消化器官も肉以外の食べ物を消化出来るようになり、雑食化が進んだといわれています。それから考えると、犬は肉食か雑食かというと「限りなく雑食性に近い肉食」が答えです。
「そればかり」をあげるのではなく、炭水化物も脂質もバランスよく摂取する必要があります。日本では室内飼育の小型犬が多く、運動量も少ない子も多くおり、嗜好性が良いからと高タンパクフードばかり食べていると、トラブルの原因になります。カラダや筋肉を作るのにタンパク質の摂取は重要ですが、たくさん摂ればよいというものではありません。
犬は筋肉や他の組織を修復または維持する際、消化吸収したタンパク質のうち特定の量しか一度に利用することができません。余剰分は、分解されエネルギーとして燃焼されるか、脂肪として貯蓄され、残りは老廃物のアンモニアになり、アンモニアは体にとって有害な物質であるため、肝臓で無害な尿素に変換された後に、腎臓で尿として排泄されるので、肝臓や腎臓等の負担が大きくなります。
小腸で吸収されなかったタンパク質が、そのまま大腸に送り込まれ、悪玉菌のエサになり悪玉菌が増え、腸の運動が弱まり、食中毒菌や病原菌による感染の危険性の可能性があります。腸内環境の良し悪しは便を観察してみてください。理想は黄色がかった褐色で、多少のニオイがしても臭くなく、柔らかいものが良いとされています。逆に黒っぽく臭いニオイがあり、少量で硬い便は、腸内細菌のバランスが悪くなっている状態です。腸内に腐敗産物が増えると、口臭や体臭の原因になると考えられているため、気をつけてください。
過剰な摂取は体への大きな負担を強いてしまい、逆効果になる可能性があります。一つの栄養に頼るのではなく、いろいろな食材から栄養をバランスよく摂る事が、あなたの愛犬の健康で長生きの近道となります。
※環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」によれば、犬の平均的な食事に含まれる三大栄養素の分布は、タンパク質25%、脂質15%、炭水化物60%です。総合栄養食の基準とされるAAFCO(全米飼料検査官協会:Association of American Feed Control Officials)によると、フードの水分を抜いた状態(水分を0%にした値)で、成犬は18%以上、成長期の仔犬は22%以上のタンパク質が含まれるべきとされています。
2021年2月10日発行 CUUN 2月号の掲載
阪急ハロードッグ フードコンシェルジュ
ペット栄養管理士 坂田 正次